院長ブログ

ANA渡米便折り返し事件と睡眠薬

公開日:
監修:めいほう睡眠めまいクリニック院長 中山明峰

 1月16日夜、羽田を出発し米国シアトルに向かう飛行機が北海道上空あたりで米客が暴れ、取り押さえる時CAに噛みつき、飛行機はそのまま羽田に折り返した事件がありました。なぜそんな非常識な人間を乗せたのか、乗るまでに異常に気づかなかったのか、と疑問。記事を読むと「なるほどね」、いつも懸念に思っていることがまた起きたと思っています。
 共同通信の記事によりますと、男は「睡眠剤を飲んで全く覚えていない」とのこと。この薬物は、WHOが問題視している「ベンゾジアゼピン製剤」である可能性が極めて高いと思います。(参照:60歳からの認知症にならない眠り方;中山明峰・現代書林p169-189)
 リーゼ®︎、ハルシオン®︎、 レンドルミン®︎、デパス®︎、メイラックス®︎、などを常用している方、幻覚、異常行動、認知機能低下、などの副作用があり、特にアルコールと併用すると危険です。飛行機に乗る際は服用しないようお願いします。そもそもこれらの薬は、国によっては麻薬と同じ取り扱いで、海外に持ち出し禁止です。日本はこれまでの乱用を反省し、保健診療にも規制がかかり、現在依存性の少ないメラトニン製剤やオレキシン拮抗薬に切り替えつつあります。
 一方、震災に遭われている方々が避難場で不眠なった場合、話は別です。ベンゾジアゼピンは精神安定剤とも言われ、ストレス抱えている間は効果を示します。ただし、必ず医師と相談した上で、できるだけベンゾジアゼピンではない薬物から服用し、効果がない場合に限って、危険性を意識した上で長期に使わないことが大切です。
 何よりも薬物のみに頼らない、よく眠れるためにはどうしたらいいか考え、生活を変えることで多くの不眠が改善します。深夜までテレビ、スマホを見る、昼間は家に籠っているなど、不眠になるような行動をした上では、効果ある薬はありません。


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