院長ブログ

腸粉から思うこと

公開日:
監修:めいほう睡眠めまいクリニック院長 中山明峰

 腸粉は亡き母の大好物であった。腸粉は香港シェフの特許と言っても過言ではないくらい、香港以外の場所ではなかなか食べられない。台北で腸粉を食べたくても香港シェフのいるレストランでしか食べられない。飲茶メニューのひとつではあるが、腸粉はなかでも王様の位置づけでしょう。
 米粉の溶き汁をその場で薄く蒸し上げ、海老を挟み、クレープ状に巻き、再度蒸し上げ、甘めの醤油ソースをかけて食べる。形が腸に似ているから腸粉と呼ばれ、口に入ったとたんに溶けてしまう美味だ。その場で食べる以外持ち運びは難しく、土産でお裾分けもできない。日本にある点心と呼ばれるものの多くは解凍した食材が多く、腸粉は解凍するともとの形を保つことができないため、日本ではほとんど登場しない。
 コロナ予防接種後、都内と横浜に大勢いる家族としばしば会うようになった。オリンピック連休にも拘わらず、外国記者を見かける以外都内にその雰囲気はなく、イベントを無視したように若者たちは自分たちの興味ある場所に大勢集まっている。この数ヶ月都内でさらに驚くことがある。コロナで降りたシャッターが再び開き始め、これまで香港に行かないと食することができない腸粉や焼臘の専門店が次々とできた。
 街で五輪に知らぬ顔をする国民は、強行開催された行事へのデモストレーションだろうか。広東料理ではなく香港料理と表示し、都内に多数流入した一流香港料理シェフ達は、腸粉を通して何かを伝えようとしているのだろうか。美味、亡き母、民主、不思議なキーワードが頭を駆け巡る複雑な腸粉の味であった。


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