ガチで書いた「認知症にならない眠り方」
学者時代、本は集大成を書くもの、若いうちは論文を書け、論文を日々更新、ある程度蓄積し、学論が確立されてから本を書け、と先輩に言われました。
還暦過ぎているし、もう若くないのです。大学時代と全く異なる道を歩み出し、新鮮な気持ちで迎えた転換期に、難しい学問をわかりやすく伝え、ひとのためになる本を残したいと思いました。
「ゴーストライターから出版までやっておきます」出版社で書こうとは思いませんでした。決して文章がうまい人間ではありませんが、ゴーストライターは自分の言葉ではありません。一方、本が売れない時代です。本を出したくても、書店に選択権があるのです。どこかから声がかかるまで待ちました。
次々と潰れる書店に危機を感じます。その中で、ある書籍会社から心温まる手紙が送られて来ました。2022年末、水道橋で編集長と面会し、長い会話を経て、2023年秋口には本を市場に出す約束をしました。この書籍会社が私に賭けてくれるならば、私もこの会社のために努力したい、そんな思いで年明けてから5月連休までに書き上げ、2023年10月に「認知症にならない眠り方」がリリースされました。
本を書くのは苦しいでしょ?いやいや、喜びでした。こういうこと、ああいうことを患者さんに伝えたい思いが、便秘のように何年も詰まっていたものが一気に吐き出せたので、胸のつっかえ感が降りた感じです。
売れ行き?わかりません。気にはなります。本は千冊単位でしか数字がわからないようです。気になるので、名駅タカシマヤのワンフロアある巨大三省堂に時々査察。あまりにも場所が大きすぎて、毎回迷ってしまいます。「おおお!先月平積みしていた新書コーナーから、本日は立った視線が入るレギュラー本棚に置かれていました!しかも由美かおるさんの横!www」
執筆料気になります?実は頂けるのは1割もないのですよ。本なんて利益のために書けるものではありません。自分の書いた本なのに、手元に置くには自費で購入しないといけません。お世話になった方に配るため、百冊購入しました。ちなみに本は千冊以上売れないと利益が出ないため、近年は千冊を買い上げる出費を作家に負荷する書籍会社も少なくありません。そういう意味で信頼して頂き、良心あるいい書籍会社に出会ったことに感謝し、本の最後に編集長に謝辞を書かせて頂きました。編集長からも、沢山本を世に送り出したが、謝礼を書かれたのは初めてだと言われました。嬉しい読者の感想があり、中山の言葉そのまま読み取れると、多くの声を頂きました。
書店って、年々閉鎖し数が激減していると思ったら、この数年V字回復しているそうです。ただ、書店に行って感じたことがあります。昔のように本の匂いが一切しない、明るくて素敵なカフェになっている大型店が増え、店員はほぼ見当たらず、質問があれば自分で店にあるパソコンで調べ、会計がセルフレジ。なるほど書店は次世代に合わせたデジタル変化で生き残った訳です。読書だけに誰とも口を交わす必要もないっか。文字までがデジタル化せず、紙媒体で読めることに感謝しないと、V字回復がWにならないよう、祈りたい。