院長ブログ

第82回日本めまい平衡医学会総会―その3―

公開日:
監修:めいほう睡眠めまいクリニック院長 中山明峰

 学会2日目、本日は4演題で大忙しでしたが、大勢の聴取から多くのご質問を頂き、感謝申し上げます。
・当院外勤の名古屋医療寺西センター長の部下中田先生がセカンドインパクト症候群を報告してくれました。脳震盪を受けると内耳震盪も起こり、二度以上繰り返すと脳に取り返しのつかない衝撃が残るため、運動選手にとって大きな問題となります。頭痛、めまいを繰り返し、ドクターストップかかるのを恐れて運動で頭部打撲による失神を繰り返したにも関わらずそれを隠し、複数の病院で原因判明ができませんでした。当院のめまい検査でひっかかり、強く脳機能以上であると確信し、追究したところセカンドインパクト症候群と判明した症例でした。通常温度眼振検査は経時的に減衰するものですが、途中で眼振方向が上向性になり、異常を呈しました。解釈できない異常眼振の追究が疾患解明に繋がると信じています。
・当院の持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)に対する認知行動療法について、その1とその2と、中山と酒井理学療法士が報告しました。当院では初診日に前庭機能について精査し、その日のうちに疾患解明、さらにカウンセリングを行います。これだけで症状改善する方がいること、来院前の患者に寄り添うことなく乱暴に投薬したところで寧ろ症状が悪化した症例を散見し、実際PPPDの治療は初診からエンディングポイントまでワンセットで認知行動療法である意識を持つべきだという考えを述べました。初診の段階で患者の認知機能を確認し、認知意識を変えうるかどうかの確認なしでは次の治療に進むべきではないと考えます。複数の治療法を説明し、同意を得た患者が次の治療に進みます。よって、当院でのリハビリ療法は認知行動療法の一環であり、初診で作為的に患者を分別したことは寧ろ治療成績をあげることを、酒井理学療法士が話してくれました。
・最後に中山が脊髄小脳変性症の初期症例を話しました。脊髄小脳変性症は高い確率で初期にめまい発症するのに、見逃されがちです。発症初期はMRI撮っても異常が判明できず、脳神経医でさえ見逃すことがあります。僅かな異常眼振、神経耳科学検査、歩行異常のビデオを供覧したうえで、近年遺伝子異常のほか、免疫疾患が関与する可能性があることをリマインドしました。
 2日間の学会でしたが、得るものが多くありました。学会参加が日常の診療に緊張感を与え、それが患者に還元できるもっともいい方法だと思います。明日からまた診療頑張ります。ご教授頂きました多くの先生がた、心より御礼申し上げます。


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