院長ブログ

台風一過

公開日:
監修:めいほう睡眠めまいクリニック院長 中山明峰

 大型台風が過ぎた翌日だが、思わぬ新幹線全線停止。大切な方との約束で上京する予定だったが、再開しても予約した列車が6時間遅れ。駅は大混雑で誰しもが台風の爪痕に戸惑う。約束のVIPに連絡したら、困っているひとに席を譲ってまたの機会にしようと言って下さった。
 予定を諦めれば済むならば、幸いに思わないと、この台風でひどく被害を受けた人たちに申し訳ない。外国の人たちが日本を楽しみに来ているのに、さぞ困っているだろうと思うと心が痛む。そもそもEX予約自体にアクセスできない。駅で対面カウンターに最後尾が見えない列ができているそうだ。
 台風前日、クリニックをどうするか悩んだ。友人に相談したところ、医療者は災難時だからこそ必要ではないかと言われた時、恥ずかしい思いがした。一方、無理に来られて怪我されてもいけない。ホームページに、予定運営するが、遠慮なくキャンセルして下さいと掲示したところ、8割方の再診がキャンセルされ、交通が止まった職員は休ませた。基本的に院長がひとりいればなんとかなるだろうと思ったが、グループLINEでひとりが動けないというと、もうひとりが自分は動けると申し出て、なんという良き職員に恵まれたクリニックだ。
 それにも拘わらず新患の方がほとんど来られ、驚いた。当院の新患が一週間以上の予約待ちでご迷惑かけ、さらにお盆しか来られない方が台風の最中に来られた。こんな日だからこそ、待たせる患者もおらず、たっぷりの時間で患者の話が聞けるから幸せだ。めまい、睡眠障害の裏に隠れる患者背景を知らずにして症状が治るはずがない。
 IT会社の方が産業医に紹介されて来られた。産業医がいる会社だからかなり大きな会社と想像する。通勤は睡眠時間に影響するため、自宅から会社までの距離は?と聞くと、会社はバーチャル、応募、面接の段階から勤務まですべてが自宅勤務、社員全員の顔を知らなければ会社に行ったこともない、会社の全体像もわからない、と。
 え???どうやって産業医の診察を受けたの?産業医もオンラインで、産業医がどこにいて、その背景も全くわからない?!なんて時代だ!これがデジタル社会か!噂に聞いても目の前にいる方がバーチャル会社に勤めるデジタル社員だが、生身の弱っている患者だ。
「容易にオンライン診療をしているクリニックから、眠れないからすぐに眠剤一錠。あなたの顔色をみて様子を察するよりも、デジタルの世界だから、言葉通り眠れなければもう一錠。でもね、さすがに4錠飲ませるのは、アナログ人間として良心を問いたくなるが、おっさんが時代遅れの可能性もあるのでそこは控える。だが、アナログ人間だからこそ、この資料を見せたい。飲まれている睡眠薬の副作用に不眠、頭痛、傾眠、震え、めまい・・・などの神経症状が伴う可能性があり、多量、複剤投与は控えるようにと啓発されていることは知ってほしい。」
「デジタルの世界では足せば数字の結果は増加するが、生身の人間は引き算がなければ能率良く動けない。生活リズムには必ず無駄が存在し、睡眠なんて最大の無駄に思うでしょう。ただ、この無駄がなければ人として営みを失い、デジタルでいうとゼロに戻ってしまう。」
「デジタルはすべての無駄を切り捨てることができるが、それはパソコンに限局してほしい。たまには無駄な時間を使って電車に乗って、こんなくだらないおっさんの、無駄な話を聞きに来てよ」と話し、次回の予約を取った。


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