体潰す気?
旧姓にいい思い出はありませんでした。小学校6年生でいきなり連れて来られ、どこに行っても「蒋」さんと呼ばれると周りにジロジロみられ、今ならいじめと呼ぶような戯れ対象にされたのも楽しいものではありませんでした。大学で講義する度、そして今でも医療講演中に「あんたよくも日本語しゃべれるようになったよね」と自問することがあります。
完璧に解明するまで突き進める性格が医師として雑念もなくここまで進ませてくれたのかも知れません。気づいたら、めまいや不眠に執着している患者を相手に仕事ができるのは、自分が同じキャラだからかも知れません。どこかで妥協すればいいのに、と他人見て思いますが、逆に自分はどうよと、不思議に思うことがあります。
ある時、自分が拘ってきた医学が、思わぬところで台湾の医師たちに発見され迎え入れられ、封印した台湾への思いが一気に噴き出しました。大きな組織にいると、どうしても不平等なことが起こりますが、起きれば起きるほど、必要とされないならそこにいる必要もないな、という思いがどんどん湧いて来ました。もはや組織に頼る年齢でもなく、当初「名駅クリニック」にするつもりが、コンサルに「めいほう」が親しまれているのになぜ使わないかと煽てられ、照れくさく始めたクリニックが今や予約満員で、非常勤医師たちのお手伝いがないとひとりではこなせないほどに成長。このクリニックも数年先には後進たちに任せられそうです。患者を含めたすべての人たちに見守られた幸福感を噛み締めています。感謝です。
となれば、私を必要とする場所はどこか。必要として下さるところのために出かけましょう!大学時代台湾成功大学で講義をさせて頂き、留学生を迎え入れ、彼らの面倒をみる華僑総会という組織があることを知ったのはわずか数年前。一度遊びに来てほしいと誘われ、美味しいご飯頂いていたら、なぜか今年から理事に拝命。いやいや、政治に疎い人間なのに。単純に平和に暮らしたい、日本人に感謝の念を持ち、日本が大好きな温かい団体であるのは間違いありません。こんな人間で良ければ、生んでくれた国に残りの人生を捧げるのも悪くありません。ただ、名古屋生まれ育ちの副院長さんが「体潰す気?」と、ちょっとだけ怒っています。