<キャッシュレス・ペイの謎>
日本は現金大国と言われる。思えば30年前米国留学時、教授がランチを奢ってくれ、財布を開いた時に数ドルしか現金が入っていないことに驚いた。現金はチップにしか使わないと。無論すべての支払いはクレジットカード。今になって、日本でもやっと現金離れが始まった。
クレジットカードでは使用者に審査が必要、供給者側がある程度の手数料を取られて利益が減少する、結果的に高価なものにしかクレジットカードが使えない、などの誤った印象を国民に植え付け、クレジットカードが思ったほど流行しない経緯がある。それが1円単位でも使えるキャッシュレス・ペイが若者にも受け、あっという間に広がった。ところで、いつからかクレジットカードからキャッシュレス・ペイという言葉に変わったのだろうか。
日本で急激にキャッシュレス・ペイが進んだのは2018年4月、経済産業省が打ち出した「キャッシュレス・ビジョン」が背景にあった。さて皆さま、なぜその時期にこの政策を打ち出したかおわかりであろう。この夏、日本国民はコロナで行動制限されても、外国から現金を持たない沢山のお客様をお迎えしないといけない事情があったのだ。
長年経済に縁がなかった学者を続けたが、今では金銭の流れの変化に驚くばかり、毎日が社会勉強。開院から2ヶ月目、「めいほう睡眠めまいクリニック」はキャッシュレス・ペイがやっと承認され、なんと運営初日に約6割の患者がキャッシュレス・ペイを利用した。
現在キャッシュレス・ペイを導入している医療施設は業界の1%以下とのこと。確かに取られる手数料を考えると医療側にとっては考えものだ。しかし、世間の感覚からずれている医療は引き続き受け入れられるだろうか。