嗅覚障害:三輪高貴教授
任務終盤になると、学会総会に選ばれた教授が学術に残すべきライフワークを語り、まとめられた学問を論文集にされることがあります。敬愛する金沢医科大学三輪高貴教授から「嗅覚障害」の御著書を頂きました。同様の御著書が何冊も本棚に入っていますが、今までで一番インパクト強い本でした。
匂いを主題とした話を、視聴者が目で見てその嗅覚を刺激する映画「パフューム」に感動したことを思い出しました。まずこの表紙の美しさ、さらに開くページはまるで美術アルバムを観るようで、自分の専門ではない本を手に取った瞬間読み込んだのは初めてかも知れません。
嗅覚障害は耳鼻咽喉科領域でももっとも手薄の領域と言っても過言ではないと思います。門外漢の私からすると、治らない難病と思っていたことにチャレンジされ、過去にない発想で多くの研究をなされ、新たなる治療法を開拓された先生に敬服します。
特にコロナで嗅覚障害が一気に有名になりましたが、オミクロン株で再度ピークを迎えているデータに驚きます。嗅覚障害なくても日常生活ができると思われるかも知れませんが、「味のない人生」と表現されるように、嗅覚障害は「匂いのない人生」になるかも知れません。三輪先生によってこの領域の謎が一歩進んだことに感服します。