医師会と黒船
日本医師会は主に開業医が入るA会員と勤務医が入るB会員がある。私の印象ではAはBに比べ、会との関連性も負担も10倍以上ある感じ。3年前開業と同時にBからA会員になった。
還暦過ぎたこの年齢になると、後世のために何を残せるかを考えてしまう。幸せなことに長寿時代に生まれ、脳みそもまだ動くし足腰も悪くない、後世を育てるための開業を老後の趣味と決めた。
開業すれば自分の子どもに継がせるのが慣習と思われがちだが、実際父の後を放棄した不孝者の考えは逆である。子どもに幸せになってほしいのは世界共通だ。しかし親のやっていることを継がせることは、不幸になることが多々ある。アナログからデジタルになって消えた職業が沢山あることを皆が知っている。本屋さんやカメラ屋さんの店主たちは口々、子どもには継がせたくないと言うようだ。自分のやっていることを自負するならば、その形は自然と誰か後世が継ぐのではないだろうか。
新A会員の歓迎会に参加した際、同じテーブルの方々は40歳台で、正直ちょっと恥ずかしかった。つまり、昭和爺が令和新入会員であり、一般の開業医と異なった視線を持っていた。日本ほど組織が守ってくれる国はないと思う。世界どこでもUberタクシーが乗れるのに、日本ではタクシー協会がブロックし、ドライバーたちを守った。出前に不足していたUberはイーツに展開したのはお見事だった。
こうした組織化は日本の平和を守って来た一方、若いものは自分たちのことばかりを考える年寄りの作る組織に魅力を感じていない。制度は年寄り優位であり、若者たちは「ネットに頼った方が安心」、というののも頷ける。
医師会の大きな役割のひとつは、開業医に教育の場を与えること。毎月開催される各科の勉強会が、数年前まで数ページ、数十の案内が来た。それがコロナ中から徐々に減り、今年度最終月の案内が全科で、なんとたったの6つ!!!何この余白???
勉強会開催するのに、講師費用、交通費、会場費、などなどと出費も多く、スポンサーが必要。テレビ同様情報はネットに移り、地上で行われるイベントは終った。医師なら誰もが知っている医療情報を与える某サイト、今や医師会予算を越える利益を生み出し、医療者派遣まで行い、その莫大な金額は海外へ流出している。最近某院長から聞いて驚いたが、そのサイトはクリニックの継承から病院運営にまで手がけ、さらに莫大な利益を得ているようだ。つまり、大学病院医局や医師会の役割は網上の組織に移り、現状の組織の弱体化は明白である。
このご時世に自民党のダンサー問題、え?昭和?もっとも耳を疑ったのは、不祥事を起こしたのは若手である。つまり、いいことも時代に合わないことも、若手は引き継がないと組織に認められない、しかしその若手がいる組織の将来は不安しかない。よっし、若手医師会A会員で爺々が言うべきことを言おう!でも、やっぱり怖い・・・。
世界は唯一、同一文化と同系列の天皇を継承している日本に敬意を払っている。黒船がやって来ても、なんとかしていいとこ取りして文化を継続して来た。ところが現在、黒船が既に日本の若手医療者を積んで出港したことを、どの程度の医師会幹部が知っているのだろうか。