医者と病人
医学部を卒業してから40年が経ち、まだまだ診療に対する不安が残ります。
当院には、他の医療機関で改善しないという相談で多くの患者が訪れます。長年治らなかった症状が、当院で改善され、感涙する患者の姿をよく見かけます。この診療スタイルを選んでよかったと感じる瞬間です。
特別なことはしていません。時間をかけて患者のお話を伺い、細かい神経の問題を特殊な機器で調べ、その結果を基に共に治療方針を立てます。多くの患者が、当院の医療に満足してくれますが、中には「もっと良い方法はないか」という要望を述べる方もいます。
「症状が50%改善したのではないか」
「いや、完全にならないと納得できない」
「それは私には無理です」とお詫びして診療を終えることもあります。
そのような場合、意外にも患者は満足げに退室し、「この医者も倒したぞ」という感覚に浸ることがあるように見受けられます。
イエス・キリストが罪深い人々と食事をしている場面を弟子たちが見て、「どうして罪深い人たちと食事するのですか」と尋ねたところ、イエスは「丈夫な人には医者はいらない、病人にこそ医者が必要だ」と答えました。
私には手に負えない患者がいるときは、それをイエスに託したくなるものです・・・