金沢の迷路
金沢で開催の日本透析医会の講演まで、朝一番に一万歩稼ごう。意外とメジャーな場所よりも、記憶に残っているのは裏通りの古い佇み。往復する自信がないので、駅から香林坊までバス。駅から直線で近江市場に突き当り、L字に右折すれば香林坊に着くことは、リピーターなら誰でも知っている。香林坊降りると早速向かいの裏通りへ。スタート地点から遠くにみえる高層ビルが駅なので、広げた左腕の指先、L字の端から端に歩けばショートカットで駅に戻れる。
普通の民家なのに、まるで江戸時代にワープした空間。心が洗われる。思わず「ぐっすりクリニック」の智先生に「この風景普通?」とSNSを打った。「そこは自分の散歩道」と返信。「金沢の人たちは贅沢だ」と嫉妬する。ひっそりした空間になぜか行列。地元では誰もが知るモーニングが有名なパン屋さんらしい。静寂が行列で興ざめ、でもなんか悔しくない・・・。そもそも古き良きを楽しむならスマホに触るな!
遠くのビルが見えたり消えたり、ひたすら道に沿って歩く。方向感はいい方だが、なんか道がくねくね。確実に駅に向かっているはずだ。
そろそろだが、心配だから一度大通りに出れば左手に駅が確認できるはず。するとなんと目の前は近江市場!え?私はL字の「端」から「端」ではなく、「端」から「角」に向かって歩いたの?智先生にSNSヘルプ。
「なんで方向感が狂う?」
「ははは、城が攻められないように街ごと設計されたのさ」
民家の塀が意外と高く、遠方が見えないうちにくねった道で方向感を狂わたとは、前田利家氏はすごい!迷路で興ざめ、でもなんか悔しくない・・・
ホテルに戻るとちょうど朝食の時間。それにしても加賀料理はきめ細かい。昼には過去に一番美味しいランチョン懐石弁当。朝食のバイキングも大皿料理ではなく、それぞれが小皿に乗せてあり、朝から治部煮もある。
フェチだから許してほしいことがある。朝食で贅沢オムレツを作るブースがあっても、私は目玉焼きに目がない。シェフ曰く、オムレツは1分でできるのに、目玉焼きは3分かかるので、意外と目玉焼きは迷惑・・・。
嬉しいことに大量の目玉焼き発見!江戸時代の殿様になった気分で加賀朝食を完コピしたかったが、目玉焼きに浮気した!
あれ?なんか違う。近距離でみる。ケーキカップに入れてチンしたやつだ・・・
レンジ目玉で興ざめ、でもなんか悔しくない・・・、どころか、金沢はやはり素敵な街だ!