日本透析医会講演「CKD・透析患者の睡眠障害とその対策」
2024.10.20.金沢で開かれた日本透析医会にて講演をさせて頂きました。透析の先生がたから講演リクエストを頂いたのはこの上ない喜びである一方、腎臓は門外漢である不安が残りました。
ところが震災地における透析の実情のお話を伺って、目から鱗、医師として考えるべきことに気づかされました。ある地域の透析施設が破壊され、道路が寸断されると、その地の透析患者は迫り来る生命への危険性を感じざるを得ないことは、ニュースでは知らされない話です。
日本透析医会はそのために施設同士の交流を持ち、今回の北陸震災でも真っ先に被害の軽い施設が重い施設の患者を受け入れ、ほぼ犠牲者ゼロの状態で通常の状態に戻っているとのこと。ところが秋に再度水害が襲い、今でも北陸の被害は深刻であることを忘れず、できる限りのことを行いたいと思います。
今回の講演内容を記します。
・透析前後で血液内容が変わるため、それに応じた睡眠障害が起こりうる。
・透析後赤血球が影響を受けるため、特有な睡眠障害を起こす可能性がある。
・RLSなどの薬物は吐き気の副作用が伴いやすく、血液移行濃度のことを考えた薬物治療の工夫が必要。
・食事制限がある上、近年学術報告で植物の鉄含有量が減少していることに注意。ただし鉄薬剤は胃腸障害を起こしやすいため、投与に工夫が必要である。
・透析行為自体が概日睡眠リズム障害を起こす可能性がある。透析中のスタッフサポートや覚醒の工夫、また未来に向けた睡眠を考慮した透析方法を期待したい。
・睡眠薬の選択は逆にリスクを増やす可能性があり、正しい知識を持って睡眠診断と治療を行ってほしい。