院長ブログ

なぜ今更活動計? Why actigraphy is needed now?

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監修:めいほう睡眠めまいクリニック院長 中山明峰

 Because sleep rhythm is much worse since people stayed home for COVID-19!
 長年人生を研究に捧げたが、コロナ病棟を作るため睡眠医療センターが閉鎖されたことがショックだった。野戦と化した病院では生命に関わらない疾患は放置だ。いやいや、自死の前には鬱、鬱の前には睡眠障害があることが侮られていることが悔しい。コロナでなくす生命が日々話題になっても、自殺者の増加は問題視されない。一方、これまでの医療者は入院しないとひとの睡眠が追跡できないこともまた問題である。 
 多くの動物の尊い命のもとで研究が進んだ。終夜ソムノグラフ検査(PSG)が優れた検査であることは間違いないが、こんな煩雑なものでしか睡眠を知り得ないのも困るな、簡単な方法でできないか。そうだ、活動計がある!寝ている間も動いている。活動計から睡眠のパターンを知り得るのではないかと思い、ラットに活動計を背負わせた動物実験を始めた。10年前に投稿した。「くだらない」と意味するリジェクト、査読者に蹴られて論文はお蔵入りした。入院して煩雑な検査を受けよう!世界はPSG最盛期の最中であった。
 同じ頃に新生児の睡眠を簡単に知ることできないかな、という名市大NICU岩田グループがいたが、お人柄に惚れて数年前からともに協同研究を始めた。彼らはデータを諦めない姿勢に当初、「どうせ俺の活動計論文同様、お蔵入りするよ」と、消極的な意見をした。それでも彼らは諦めない。グループに優秀なリーダーとそこそこ若くて元気なやつがいたからだ。先日ブログ(2021.7.20.)でも紹介した新生児の論文が一流国際雑誌に載った!
 こりゃまずい、ラットのデータをもう一度取り出した。宙に浮いたラットの命を救ってくれと、江崎に投稿を託した。さすが若手天才と言われる江崎、一発で採択された!
 初めて国際雑誌に、「めいほう睡眠めまいクリニック」の名前が載った。「いい医療とは今ではなく、先を見越したことをやればいい」、改めて反省した。クリニックでは一円玉大の活動計を採用している。これまで眠気があるという一言だけで入院検査に誘導され、莫大な費用を払わされる上、検査は数ヶ月待ちで診察を諦めた患者は少なくない。コロナで入院が煩雑になり、容易にPSGがでない。改めて過眠症と思われた患者の8割は、活動計だけで診断ができ、投薬せずに改善することに驚いている。
 これまでは患者の訴え、または患者が記録したメモだけで診断し、薬物を処方する怖さを知らされた。睡眠だけではなく、睡眠は昼間の活動に影響され、活動計から動かぬ証拠の客観的データが取れる。この小さな活動計をつけるだけで睡眠時間、熟眠度、睡眠リズム、昼間の消費カロリー、昼間のだらけた行動、寝ている体勢、などなどがわかる。
 最近市販の電子時計やアプリで計測することもできるが、それらは医学的検証がない上、まとまったデータを取り出せず、数字があっても使用者に何を意味するかわからないと聞く。そりゃそうだ。資料を手にしたら誰でもプロになれるなら、東大に入れる本を買えば、全員が東大に入れるはずだ。


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