院長ブログ

新睡眠薬情報その2:ダリドレキサントか、ボルノレキサントか

公開日:
監修:めいほう睡眠めまいクリニック院長 中山明峰

新薬の2剤をどのように選ぶべきかについて、現時点での状況をお伝えします。新薬は開発時の臨床データと現場での使用経験が重要で、発売後1年間は慎重な投与・情報交換・副作用調査が行われます。通常、重大な問題がなければ1年経過後に投与制限が緩和され、一般使用が広がっていきます。そのため、日々睡眠診療をしている我々でも、実感できる治療効果を得るには一定の追跡期間が必要で、開発チームとの連携が不可欠です。
ここで留意点があります。ダリドレキサントを発売している製薬企業側で、販売初年度に行政指導を受けたことや連携面での行き違いが一部あったこと、情報提供方針が精神科中心になったことなどから、現時点では我々のような睡眠外来の診療現場に十分な情報が届いていない状況です。従って、当院で現時点の詳細情報を一方的に提供することは控えます。ダリドレキサントに関する情報が必要な方は、まずはかかりつけの精神科医にご相談ください。
一方、ボルノレキサントについては研究データや開発経緯が比較的オープンに共有され、化学設計の背景やオレキシン拮抗薬の副作用を軽減するためのデータが睡眠脳波にも示されていることが、本日の勉強会で示されました。販売体制についても、精神領域に強いMeiji Seikaファルマ株式会社と一般診療に信頼ある大正製薬の協業により、過去のベンゾジアゼピン乱用の反省を踏まえたリスク管理策が多く盛り込まれている印象を受けました。クリニック宛のフォローアップや症例アンケートが頻繁にあり、リスクマネジメント体制がしっかりしていると感じます。
まとめ
・今後、睡眠薬の第一選択はオレキシン拮抗薬が主流になると考えられます。
・既存の先発薬(スボレキサント、レンボレキサント)には多くの報告があり、それらの情報を基準に投与してください。
・新薬ダリドレキサントとボルノレキサントについては、今後も臨床経験を積みつつ随時報告していきます。必要に応じて開発側と連携し、慎重に情報提供してまいります。
PS.
久しぶりに、そして初めてお会いした先生お二方をご紹介します。
岐阜メイツ睡眠クリニック院長の田中春仁先生は同世代の睡眠医で、中部地域の睡眠医療を共に築いてきた仲間です。年長組として若手育成をどう進めるかについて率直に意見を交わしました。
また、以前リモート講演会で座長を務めていただいた睡眠専門医の後平泰信先生とは初めてお会いし、朝食をともにしました。驚いたことに、後平先生はハンティングされ、札幌もいわ徳州会病院に39歳で院長!時代の変化を強く感じます。札幌での次世代へのバトンタッチは、後平先生に大いに期待できそうです。
<参考資料>
厚生労働省より行政指導
https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2024/11/20241122.html
なぜ精神科に絞った販売ルートか
https://www.suimin-memai.com/blog/meiho/entry-725.html


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