当院におけるPPPDに対する前庭リハビリの治療効果
前庭リハビリテーションは、元々一側性の内耳障害に対する機能的な代償を期待する治療法であり、心因的要因が関与する持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)には理論上効果が薄いとされます。論文では効果があるとの報告が多数ありますが、理学療法士による精神面での介入が影響していることは否定できません。
当院では、前庭リハビリテーションを認知行動療法の一部として位置付けており、その治療報告を酒井成輝理学療法士が日本めまい平衡医学会で発表しました。多くの聴衆から、リハビリとカウンセリングを3クール繰り返すことはカウンセリング効果を大きく含むのではないかとの意見が寄せられました。われわれはまさにそのように定義しないと、学術的に議論する際にエビデンスに基づく医療(EBM)から遠ざかるとお答えしました。酒井理学療法士は院長が自負する前庭リハビリテーションの妙手を持ち、立派に学会報告ならびに質疑応答をしました。
酒井成輝理学療法士の報告内容を要約します。
持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)を持つ患者に対し、前庭リハビリテーション、患者教育、認知行動療法(CBT)を組み合わせた集学的アプローチの効果を検証し、薬物療法を選択しなかったPPPD患者に対する新しい治療法の有効性を示します。方法として、50例のPPPD患者を対象に前庭リハ、心理的支援、および情報提供を行い、介入前後でのめまいや不安・抑うつ症状の改善を評価しました。結果、4週間および8週間後に患者の症状が有意に改善したことが示されました。医師と理学療法士の協力によるグループ形式の介入は、心理的負担の軽減に寄与する可能性があります。今後は無作為化比較試験を実施し、治療の有効性をさらに検証する必要です。
