院長ブログ

第119回台湾耳鼻咽喉科外科医学会国際セミナー;医療崩壊をどう防止するのか

公開日:
監修:めいほう睡眠めまいクリニック院長 中山明峰

20年前まで、多くの台湾医師たちが日本に学びに来ていました。そのご縁で、私は台湾にも度々出かけ、睡眠教育を行ってきました。当時、長庚大学林口病院の李学禹教授が台湾の睡眠医学を牽引しており、彼に招かれた会には多くの若手医師たちが集まりました。その中でも、特に成功大学の若手林政祐医師の、揺るぎない学問への熱意に深く感銘を受けたことを覚えています。
数年後、政祐が昇進のために海外からの推薦状が必要だと連絡を受け、必死に準備した記憶があります。その書類が役立ち、彼は無事に昇進し、同時に成功大学に睡眠医療センターを設立する話も持ち上がりました。私も施設を創設した経験からノウハウを伝え、さらに留学研究員を受け入れるなど、協力を行ってきました。
それからわずか数年で、政祐は主任教授まで上り詰め、今年には全台湾の耳鼻科医が集う学会60周年記念の大きなイベントを任されることとなりました。この話が決まった早い段階で、彼からぜひ来てほしいと声をかけられ、私も日本から多くの応援者を連れて参加すると約束しました。
しかし残念ながら、ここ10年で台湾の睡眠時無呼吸症に関する研究や臨床、手術技術は日本を追い越しています。さらに、日本では若手研究者が大学に残らず、大学院進学率も著しく低下しています。この背景には、長年続くインフレなどの経済的な影響も否定できません。この状況の中で、日本の医療者や研究者は、彼らに何を語ることができるのでしょうか。
名古屋市立大学で睡眠医療センターを立ち上げてから10年目に、コロナ感染症によりセンターは閉鎖を余儀なくされました。その前には、「研究は二番じゃだめですか」という言葉とともに研究資金の削減を推し進めた政治家が、皮肉にも台湾と重複国籍問題で問題となった時代でもありました。
コロナ禍では、多くの耳鼻咽喉科の診療所が閉院に追い込まれ、コロナ明け後には若者から背を向けられる状況になっています。どの科も入局者数は減少しているなか、、多くの若手医師がSNSを利用し、医療情報を得たり、医師の雇用もウェブサイトを通じて行われるようになっています。さらに、コンプライアンス規制は年々厳しくなり、学会開催もサポート財源の減少により困難となり、その結果、教育者たちは精神的に追い詰められる事態も起きています。
このような状況に対し、若手医師たちが結果だけを求める風潮に対して、教育者は満足のいく回答を示せず、多くの若者が全身医療を学ばずに美容医療に流れる現状も問題となっています。こうした現象は「直美現象」と呼ばれ、社会問題化しています。教育の質が低下する国はやがて崩壊する、これは避けなければならないことです。日本の二の舞とならないよう、今から台湾での対策を練っていく必要があると私は強く願い、その意見交換を行いました。


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