睡眠医療における薬剤師の活躍
長年お世話になった名古屋市立大学は、医学部の歴史は比較的短いですが、実は薬学部は1884年に前身校が開設されたこともあり、国内でも最も古い薬学部の一つです。そして、薬学部としては全国的にもトップクラスの実績があり、医師が一歩引いてしまうほどの存在感を持つ学校です。
同大学の睡眠医療センター長を務めていた頃、一度講演のご依頼をいただきましたが、まさか開業後の私に対しても薬学部同窓会・薬友会から再び講演のご要請をいただいたのは信じがたく、とともに大変緊張しました。幸い大学時代一緒にお仕事させて頂いた病院薬剤部木村名誉教授からお声かけを頂き、いくらか力を抜くことができました。
さて、「大学時代とは違い、今の私はもう背負うべき看板がないので、コンプライアンス無視の話をします」とお断りして笑いとったうえで、いくつかのポイントについてお話しさせていただきました。内容は以下の通りです。
• 医師による誤った睡眠薬処方がさまざまな社会問題を引き起こしているにも関わらず、未だに十分な認知が進んでいません。
• ベンゾジアゼピン系薬剤(精神安定剤)は有害性や依存性が強いにも関わらず、医師が大量に処方している現状があります。これに対して調剤薬局の薬剤師から意見を述べると、一部の医師から反発があり、困った原状を見受けます。
• この問題に関してはすでに医療訴訟も起きており、被害者も存在しています。さらに、診療規制がかかっており、長期投与が容易ではなくなっているはずです。
• 近年の研究では、不眠症に対し薬物治療だけではなく、認知行動療法の併用治療が重要、さらに認知行動療法が薬物に勝る報告もあります。
• 薬剤師の新たな役割として、処方の見直しだけでなく、薬物の減量や休止のアドバイスも必要となっているのにも関わらず、それを阻む医師がいます。
• 現状各医学部に睡眠の講義が十分に行われていないこと、そのため開業してもあっちこっちで講義せざるを得ないことを伝えると、会場から大きなため息が漏れました。
• それでも時代は少しずつ変わりつつあり、副作用の少ない新薬も増えてきています。ただし、これらの薬物には新たな問題点もありますので、ぜひ薬剤師からのアドバイスを加えてほしいと考えています。
