院長ブログ

考えるべき「医学部教職」と「直美」

公開日:
監修:めいほう睡眠めまいクリニック院長 中山明峰

皆さまは、医師はお金持ちだと思っているかたも多いかもしれませんが、今のあなたと一度人生を代わって体験してみませんか?
確かに医療職にも損得があります。しかし、若手医師を育成する医学部の教職は、もっとも待遇が悪いことをご存知でしょうか。
「いや、年収はいいじゃないか」と思うかもしれません。でも、職員が朝から夜まで働き、そのまま徹夜で当直をし、翌日もそのまま勤務させるのは、労働基準法違反です。しかし、医師はその基準から外されているのです。さらにコロナ診療で犠牲になった医療者は大勢いました。
岐阜大学元准教授であり、後に岐阜大学病院副院長まで務められた水田啓介先生は、私が尊敬する医師の一人です。彼とは同じめまい研究領域で頻繁にお会いしますが、私と違い、彼は紳士で辛抱強く、研究への熱意も非常に深い方です。そんな水田先生が教職から一宮西病院に移られたことには大変驚きました。 聞けば、夜間当直のない夜でも、医局を離れるのは深夜零時がほとんどだそうです。また、副院長になると、実際には患者からのクレーム対応やお詫びの仕事、雑務に追われ、もうこれ以上無理だと感じた頃に急成長した病院にスカウトされたとのことです。
正直、教授になるべき方を組織が失ってしまう損失について、何か改善策が施されているかというと、組織はまだ性善説に頼っているように感じられます。私も教授職につく直前で辞めた身ですが、教授職に就けば動きづらくなるため、どこかで辞める選択を考えている教員がたくさんいると思います。
教職はアルバイトをしないと生活できず、この姿を見て、若手医師は研究や教職に残る気持ちさえなくなり、とても魅力に感じなくなっています。そうなると、より早く稼げる美容医療に流れる「直美」という言葉も生まれました。多くの若手医師が医療界を離れ、厚生労働省もやっと深刻に問題に取り組み始めました。
水田先生のお招きでリモート講演をさせていただきましたが、医学部の教職の現状はやがて教育の劣化を招き、日本の医療全体に不安をもたらすと感じ、気持ちが曇りました。ただ、二人だけがニコッとしたのは、お互いに命を落とす前に退職できる理由を見つけたからです。何しろ、古い時代の医局では、辞めることもできなかった時代でしたから。


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