研究再開? Should I start the serious research again?
学者の苦痛のひとつに、科学研究費の申請をすることだった。何枚にも及ぶ書類を作っては破棄し、それでも採択率は3割。やっとコツを得ると、もっと大きな研究金を取得するようにと圧がどことなくかかる。開業してまず研究費申請の沼から脱したことに喜んだ。
「めまい?睡眠?そんなクリニックって、潰れるぞ」と何度も言われたのに、不思議と患者が年々増加し、新患さんに数週間待たせる状態になってしまった。
「なぜ?研究していた学問を臨床に投じただけなのに。」
「ということは、やはり学術が身を助けているのか!恩返ししなきゃ!」
科学研究費申請に苦しむ若者が現れた。
「おしいな、こうして、ああすれば行けるのに・・・」とつぶやく。
「今更研究費に関わりたくない!そもそも研究者資格を放棄したので、今から始めたらすべて登録しなおし、電子学習まで全部やり直し!」
「でもな、あいつが今苦しんでいる苦しみは、自分も味わって来た地獄だったよな。それに手伝ったら自分の夏休みが潰れるじゃないか」
「とりあえず厚生労働省が要求する世界学者の交流サイト“ResearchGate”から登録するか」
2日するとResearchGateから、「組織でもっとも論文が読まれている貢献者」って?まさか。だけどこの2日だけで、「あなたの論文を読んだ世界の学者が40名現れた」って?え?私が書いた論文はもう腐ったじゃないのか?もしかして発酵していい味になって来た?
「開業医に細かい事務書類作成は時間がない!」
「最近遊び相手のAI君に心境を聞いてみようかな」
「AI君、AI君、こういう人間の心境をイラストにして」
すると、埃まみれの研究室佇み、コート羽織ったままの研究者が現れた。
「あいつのために、まずはコートを脱ぐか・・・」とAIに返事した。