院長ブログ

「交通事故と睡眠障害」が発するメッセージ

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監修:めいほう睡眠めまいクリニック院長 中山明峰

 睡眠医療が急激に発展したのは1980年代、戦争でもないのに米国の交通事故死者がそれ等しい数となり、ハイウェイで事故があると多大な経済的ロスが出るところから、事故の誘因と思われた睡眠時無呼吸症候群という病気が報告されました。「居眠り」とかけて「経済ロス」と解く、その心は「目を覚ませアメリカ!Wake up America!」キャンペンを広め、医療者たちが真剣に睡眠医療を始めました。日本では2003年に新幹線運転手の居眠り事件で火がつき、睡眠時無呼吸症候群治療も保険適応となりました。ところが睡眠時無呼吸症候群以外に多くの睡眠障害、ほか問題点が残されていることは否めません。
 名古屋市立大学睡眠医療センター長時代、ある検事が訪問し、とある事故の解明に意見を求められましたが、これがまたややこしい話でした。このことは判決が出ており、公開されているが、ここで詳細を語るのは避けます。
 以来地方裁判所の検事さんたちから睡眠障害が関連すると思われる事故相談が来るようになり、近年は他県の地方裁判所を含め、検証した事故をシェアするリモート勉強会を開き、昨日行われました。今の時代はドライブレコーダーがあり、見る度に心が痛むと同時に、私の意見がひとの人生を左右すると思うと、真実を正す言葉選びに慎重になります。
 事件を通じてどうしても皆さまにお伝えしたいことがあります。一般の方には、睡眠不足は酔っ払い運転に等しいリスクがあることを認識して頂きたいと思います。徹夜した翌日の運転は避け、眠気感じたら必ず車を止めて仮眠して下さい。ここまでは一般常識ですが、次に医療者に厳しいことを申し上げます。適切ではない睡眠薬や向精神薬投与で患者に害が及んだ場合、それらの副作用や合併症を説明せずに投与した場合、保険診療で決められた規則を守らずに薬を投与された場合、医療者に重い責任が課せられることは言うまでもなく、逸脱した医療治療をした施設が敗訴となった訴訟例が既にそれを証明しています。
 また、睡眠時無呼吸症候群に対するCPAP治療をしている医療施設、今の時代、デジタルデータは残るので、適切なCPAP管理基準を守らず、蔓延と患者を通院させ事故を起こした場合、医療者も法廷に立たないといけないことを認識して頂きたい、患者の立場に立った医療を行って頂きたいと、強く願います。


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