院長ブログ

子どもたちに何ができる?日本睡眠学会シンポジウム2022

公開日:
監修:めいほう睡眠めまいクリニック院長 中山明峰

 子どもたちの睡眠が年々粗末にされ、未来にとって大きな損失になるにも関わらず、大人は何をしているのでしょう。そうです、大人自身の睡眠を粗末にしているから、子どもにいい影響を与えることができる訳がありません。
 第47回日本睡眠学会初日朝一番に開かれたシンポジウム、会場満杯の聴衆でコーディネーターとして感無量でした。この呼びかけが全国に広がり、ひとりでも子どもが犠牲にならないことを願います。
★オープニング:中山明峰(めいほう睡眠めまいクリニック・院長)
 経緯:全名古屋市小学校の睡眠調査→睡眠育成士認定講座創立→コロナで中断。今後の計画などについて、本日の段取りを説明し、会を開始しました。
★安井禎(名古屋市精神保健福祉センター・所長)
 引きこもりの定義、現状、名古屋市での活動、さらに睡眠障害との関連性を語って下さいました。睡眠障害と引きこもりの関連性はまだ医学的根拠で証明された訳ではありませんが、関連性がないことだけは否定できます。引きこもる理由に家族と会いたくないことが挙げられ、睡眠クリニックに無理に連れて来られた患者の対応が難しいことを再確認しました。
★坂本なほ子(東邦大学看護学部社会疫学研究室・教授)
 全名古屋市小学校の抽出調査から得られた子どもの睡眠と電子機器の関連性についての解析が終了し、国際論文に掲載されたことを報告しました。スマホ、電子パネル、パソコンなどを一日4時間以上使用する小学生は10%おり、これらの小学生に著明な睡眠障害を引き起こすことが判明されました。エビデンスベースに基づいた子どもの睡眠についての調査は全国的に少なく、この研究が多くのかたに興味を持って頂き、各地で続けられることを願います。
★佐藤慎太郎(名古屋市立大学睡眠医療センター・センター長)
 中山明峰の後に名古屋市立大学睡眠医療センター長として大学業務を引き継ぎ、さらに睡眠育成士認定講座をバージョンアップし、NPO団体「日本睡眠衛生睡眠推進機構」として創立した経過、今後の活動について報告されました。今後はインターネットによる受講、認定試験などができるようになり、さらに全国の小学校に睡眠教育を施す活動を行う予定です。
★堀川宏太(NHK名古屋放送局・ディレクター)
 かつて睡眠育成士認定講座を取材し、ドキュメンタリーとして全国放送となった動画を交えて、ディレクターとして、さらにひとりの父親として子どもの睡眠について語って下さいました。医療者は医療施設に来る子どもたちとしか接することができません。未病の子どもたちを掘り起こし、いかにも生活が崩れて学習に問題が生じるひとりのお子様の家庭内に入り、家族連携の生活改善により立ち直ったお子様の報告をして下さい、会場全員がその衝撃に感嘆の声が漏れました。学会という箱のなかで綺麗事のみ語っても社会にフィードバックできなければ活動に意味がない、堀川ディレクターの素晴らしい活動を紹介し、司会が自分自身に苦言を呈しました。
★磯村毅(予防医学研究所・所長)
 スマホを含めた電子機器が子どもの睡眠のみならず、精神状態、成長に与える影響を報告されました。一般的に電子機器の長時間使用しているからその分勉強や睡眠をしていない、と思われがちですが、勉強時間も睡眠時間も同じ、電子機器を使わずほかの運動や遊びをしている子どものグループと比較して、電子機器グループのお子さまの成績や精神状態が明らかに悪い研究報告に衝撃を受けました。
★粂和彦(名古屋市立大学薬学部教授)
 閉会の言葉を頂きました。粂先生は長年不登校の子どもの診療経験を持ち、本会全体を見守って頂いております。これまで各自が別々に活動して来た人たちが集まり、新生・NPO団体「日本睡眠衛生睡眠推進機構」の顧問として、この会をきっかけに子どもの睡眠を守る大人が全国で増えるよう、シンポジスト全員が願っています。


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