院長ブログ

祇園のカラシソバ

公開日:
監修:めいほう睡眠めまいクリニック院長 中山明峰

 京都のグルメレポーター・ドクターの記事に惚れ、お互いに中華料理好きで、名古屋と京都の意見交換会を始め、今回は京都の街中華にご案内して頂きました。街中華と言っても姜尚美著書「京都の中華」にも紹介されている「カラシソバ」が目的。
 台湾から来日した1970年頃の中華、ほぼ広東料理一色でした。台湾料理というのは、ベースになる台湾南方料理と、中国全土から来た人たちが色んな味を合わせて作った創作料理(台北料理と呼んでも悪くないかも)で、実際広東料理単味はそれほど受け入れられていません。そのため、幼少期の私にとって、日本中華は新鮮でした。日本中華も年々変化し、特に近年上海の影響が強く、逆にあの頃の街中華がどんどん消えています。祇園の一角にある「平安」は、スナックなどに囲まれた路地奥にありました。
 本に載るほどの店なので広いかと思ったら、カウンター数席と二つのテーブル。入口には宮崎駿さんの写真などと著名人が多く訪れた形跡。最近春雨でボリュームをごまかす傾向にあるなか、タケノコが目一杯詰まったパリッとした春巻きからスタート。旬の京都中華らしく鱧の天麩羅は、ふわっとした主張の強い衣なのに主役をぼかさない。その一品でシェフの腕がわかる野菜炒め、強い火力で鍋の味がそのまま瞬時に移り、水物炒めているのに水分が一滴たりとも出ず絶品。いよいよ最後にカラシソバ。よく混ぜてから、という段階でカラシの香りがつんと。一口食した途端からやばい、咽せる、と我慢したら涙に変わりました。こりゃ、やや罰ゲーム的なくらいカラシが入っているかも。わさび大好きで、家で食べる刺身は醤油がドロドロするくらいわさび入れるので、その食感が中華に現れるとは新鮮でした。味?正直完食できるかなと途中で少し不安でしたが、なんでしょう、なんかどんどんどんぶりの中に引きずり込まれるように箸が止まりませんでした。不思議な気持ちで完食。はまるひとが続出するのは少しわかるかも。
 気さくな店長で、御年80過ぎであの力強い野菜炒め。なぜ最初こんなにカラシを入れられたか、と聞くと、気さくに企業秘密を教えて下さいました。あの頃焼きそばの真ん中のちょこんとカラシを載せるのが流行だったが、これじゃ面白くない、ほかと差別化したい、咽せるくらい入れてやろうと冗談のように入れたら、京都で話題になり次々とテレビ取材が入ったそうです。ひとと同じことをしては生き残れない、思いきることができるひとが生き残れるのです。元気を頂いた夜になりました。


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