苦境下挑戦する飲食店:2021.9.21.中日新聞Dr'sサロン・中山明峰
台湾の成功大で客員教授を務めており、例年、何度か訪台してきた。最近はコロナ禍で行けず、本場の台湾料理を長く食べられていないのが大きなストレスだ。台湾人の多くは、中国南東部にある福建省沿岸の移民がルーツだ。特に成功大のある台南市は、清朝統治時代の首都で、日本で言えば京都。新鮮な海鮮をあっさりした味で食べる福建料理の特徴が色濃く、決して劇辛や濃い味付けをしない。素材の味を大切にする現地の文化は京料理にも通じるところがあり、恋しくてたまらない。
先日、この好物にありつけない苦しさを発散しようと、名古屋のエスニック街の代表格、大須商店街を散策していたら、「台湾餃子」という看板を見つけた。餃子は中国東北地方の料理ではないかと思ったが、念のため、店外からメニューを確認。干し大根の卵焼き「菜脯蛋」。辛くない「担仔麺」。本場を感じる料理があった。聞けば、最近オープンした店で、台湾料理を愛するオーナーが、本場の味を知る機会を増やしたいと、あえて日本人に親しみ深い餃子を前面に出したそう。料理は、台湾の友人が来日したら連れてこようと思えるほどおいしかった。
飲食店と医療者。どちらもコロナと戦い、この一年苦しんでいる。その中で挑戦し、新たな世界を切り開く店に巡り合えた。医療も負けられない。そう強く思った。