院長ブログ

開院直前の日曜日

公開日:
監修:めいほう睡眠めまいクリニック院長 中山明峰

 家の耳鼻科医院の継承がいやでいやで、研究者という名で親から逃げて来た。回りに回って「めいほう睡眠めまいクリニック」開院2日前、日曜日の朝となった。クリスチャンファミリーで生まれたというだけで、教会なんか行くより日曜日は友人と遊びたかった幼少期。笑えることに今では月に一度偉そうに子どもたちに話をするようになった。今通っている広路教会はとても居心地のいい教会である。これまでに知る牧師達と異なり、自由度の高い牧師夫妻がおられ、信者が教会に行こうが行かまいがいちいち構いもしない。不思議と構われないと足が教会に向く。
 ここまでの道のり、わずか数ヶ月だが数年か過ぎたと感じるほど沢山社会勉強をさせて貰った。事務長は置きたい、クリニック程度で置くひとはいない、いや置きたい、とワイフとの口論から始まった。最初面談した事務長候補は必ず会議に遅刻する、次の候補は私の訳がわからない展望についていけないと断られる、さらに次は逆にどっちらが院長かわからない上目線を持ち会議の度叱責され、私から私のような下世話な人間はあなたとお付き合いする資格はないと退く。さすがにここまで来ると自分の性格がおかしいのではないかと思いはじめる。その時夫婦ともに思い出したのが、ある共通の友人であった。今頃出世して口も聞いて貰えないだろうなと思いながら会いに行った。3分後、彼は今の会社と辞職してともにクリニックを立ち上げたいと回答した。還暦のおっさんが途中でくたばったら彼は職を無くすのに。この数ヶ月間、彼がいなかったら私はとっくに伸びていただろう。クリニックの金庫を安心して預けられるキーマンが決まった。
 クリニックが成功するか否かはスタッフ次第だ。ひとり、ふたりと集まり、素敵な人たちが結集した。研修会終盤の反省会でひとりひとりが心境を語った。人生の転機を含め心奥底に貯まった家庭内の話までし、全員で涙した。勘違いしないでね、宗教団体にするつもりはないからね、笑。研修がよほど苦しかっただろうな、自分が人生で拘って来た最前線にある医療を押しつけすぎたかな、と反省した。でもなぜ私自身が還暦になってなぜこのような苦しい道を選んだかの話をし、医療者の知識不足のために犠牲になるめまいや睡眠障害の患者が多くいることを目の当たりにし、私の思いを少しでも理解してくれたように感じた。この瞬間、クリニックの運営はうまく行くと確信した。前職仁愛診療所から継承した300名の患者に加え、開院前にも拘わらず既に新患が50名に達し、6月はもう予約が入らない。素敵なスタッフに恵まれ、ここまで支えて下さったすべての関係者に感謝し、これから始まるクリニックは患者の期待を裏切ることはないと少し安堵した。
 時々ブログで写真を使わせて下さいと、圭子牧師のFBからアガパンサスの写真を頂いた。花の知識が弱い私だが、一輪で強く咲く花よりも、私はこのようにひとつひとつの花びらが別々の方向に向きながらも、根元で束ねられているアガパンサスになぜか感動を覚えた。今日も教会をサボって1日中クリニックに籠もる日となりそう。


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