深川飯だけは江戸時代
監修:めいほう睡眠めまいクリニック院長 中山明峰
全国民がこぞって海外旅行した円高のバブル時代を経て、いい加減歳も重なり、改めて足元をみると、身近に宝物があることに気づきます。二大落語巨匠の二人会に出かけた深川、「この一帯は江戸時代のままだ」と思わせる雰囲気にえらく感動。開演前の腹ごしらえに初めての深川飯。
「こんなにうまいものがあるのか!脂がないと飯じゃないと思っていた若造の頃に来なくて良かった!」
「今時代にこのアサリの量!江戸湾にこんなふくよかな浅蜊がいるんだ!釜で炊いた焦げがまた贅沢。次回マニアックな海外友人たちに教えよっと」
露の新治さんのおかげ様で、落語協会会長・柳家さん喬さんにも会わせて頂き、感激で震えました。今後間違いなく国宝級になるお二方、ショットは宝物です。たっぷり2時間半の二人会、江戸と上方落語の組み合わせはなかなか聞けるものではありません。躍動の新治さんと対照的、ぼそぼそつぶやくさん喬さん、極めた巨匠の芸はすごいものです。
なぜ落語にはまるって?つまらない学者の講演を聞くのは苦痛、というところから始まります。ひとつの医学や科学を遂げたことはわかりますが、医療者でさえ理解できない話をする学者は落後者だと思います。最初に落語を聞いた時、なぜどうでもいい内容の話なのに、語り手からこんなにも感動を得るのか、ショッキングでした。「ということは、自分の学術を伝える際にこのスキルがあったら、初めて講演が完成するのではないか!」
実際何かの影響は受けていると思いますが、改めて巨匠レベルの落語を聞くと、彼らが江戸時代に生きていることに気づき、辿り着けない世界があると気づかされました。